リード獲得数がコロナ前の1.7倍に!? ferret Oneが行った、ウィズコロナの展示会戦略
ferret Oneではコロナの拡大を受け、2020年2月の展示会出展を最後に、展示会やリアルイベントへの参加を中止していました。
しかし2022年4月、情勢を見つつも、2年2ヶ月ぶりに展示会に出展することを決意。コロナ禍の出展にあたり「客足の戻りはどうか?」「コロナ前と状況の変化はあるのか?」「来場者、出展社が求める理想の展示会とは?」など、しっかりと事前調査をした上で対策を講じました。
その結果、コロナ禍にも関わらず、コロナ前の同展示会(Japan マーケティング Week【春】)出展時と比較して「リード獲得数」は約1.7倍、「商談獲得数」は約1.1倍へと成長。すでに成約も発生しています。
そしてもうひとつの大事なポイント、社内の展示会関係者のイベント後のコロナ感染は「ゼロ」となっています。
目標達成と、コロナ対策。バランスが難しいこの2つをいかに両立させるか? 本記事では、コロナ禍の展示会出展にあたりferret Oneが意識したポイントについて、写真を交え具体的にご紹介します。
今回解説をするのはこの人!
河村 和紀(かわむら かずき)
株式会社ベーシック ferret One事業部 マーケティング部 マネージャー大手人材紹介会社を経て、創業期の株式会社ベーシックに入社。比較メディアの担当として、Webサイト運用・商品企画・新規事業立ち上げなどに携わる。その後、ferret Oneのマーケティング業務に専任。現在はイベントマーケ、オフラインマーケを管轄。セミナー登壇400回以上。オンライン1,000名、オフライン5,000名規模の自社イベント主催。Twitterのアカウントは@Kawamura_KZK
※本記事は「新型コロナウイルス感染症まん延防止等重点措置」により、イベントの人数制限が設けられていた2022年1月の「イベント会場の事前視察」および、それが解除された4月の「自社の展示会出展」からの考察となります。ともにマスク着用、アルコール消毒、少人数での視察等の対策を徹底した上で行っております。予めご了承くださいませ。
展示会イベント会場の事前視察(2022年1月)
2年ぶりの出展にあたり、コロナによる状況の変化が予想されたので、まずは事前に会場の様子を知るために視察を行いました。今回は「Japan マーケティング Week【春】」に出展が決まっていたため、同じ主催社が同じ会場で運営する別イベントを調査しました。
展示会の事前視察でチェックした項目
コロナ禍での展示会出展を成功させるために、チェックしたポイントは次の4つです。
《視察項目》
①来場者(人数や様子など)
②配布物(ノベルティ)
③キャッチ方法
④コロナ対策
各ポイントごとに、視察で感じた展示会の「状況」と「必要な対策」を以下にまとめています。
※内容は弊社の見解です
①事前視察で感じたコロナ禍の展示会の特徴:来場者編
状況:コロナの影響で、本当に必要なブース以外は近づかない
- 来場者はまばら(東京ではイベント当日、新型コロナウイルス感染症まん延防止等重点措置の適用がされていた)
- 積極的にチラシや資料などを受け取る人は少ない
- 立ち話が多い印象。着席してがっつり商談するブースが減った?
- 一ヵ所に長く滞留するイメージがない
必要な対策:ブース装飾で魅力づけし、自らブースに足を運んでもらう設計を
- ブースの訴求内容、看板のビジュアルの惹きがこれまで以上に重要視される
(展示会におけるUSP理論と、AIDMAの法則を考慮し設計する必要がある) - チラシをスタンドに入れて、ブースの前に設置することで、興味のある人に自ら立ち寄ってもらえる環境をつくる
- キャッチで数を取るよりも、少数の商談重視のフォーメーションにした方がよい?
②事前視察で感じたコロナ禍の展示会の特徴:配布物(ノベルティ)編
状況:渡されたものをとりあえず片っ端から受けとる人は少ない
- 過去の展示会でよく見かけた、片っ端から資料やノベルティを受け取って、両手にたくさんのバックで持ち歩く人は少ない
《視察で見た、ノベルティに対する来場者の反応》
✕ お菓子、付箋、ハンカチ ・・・渡されたノベルティを受け取る人は少ない
✕ マスク、消毒液 ・・・すでに着用していたり持っていたりする人が多く、反応が薄い
〇 バック ・・・抵抗なく受け取る人が多い
→以前ほどノベルティの効果はないと考えられる
必要な対策:ノベルティに頼らず、資料で興味を引く
- 過去の出展時に配布した、オリジナルキャンディやボールペンなどのノベルティは中止
- 中身の見える透明の手提げ袋 + パンフレットの組み合わせが有効?
- ツールの比較表やフレームワーク集など、グッズよりも、来場者が活用できる資料を
(来場者は展示会が中止・延期となり、情報を欲しているという仮説)
③事前視察で感じたコロナ禍の展示会の特徴:キャッチ方法編
状況:コロナの影響もあり、大声や接近したキャッチをする企業は減少
- コロナ前の展示会で見られたような過度なキャッチは、より避けられやすい
《NGキャッチ方法》
✕ 大声を出した呼び込み ・・・コロナ禍で大声のキャッチはしづらい
出展社、来場者ともに空気を読んでいる様子
✕ グイグイと来場者に接近 ・・・実際に何社か見かけたが、基本的にスルーされていた
コロナの影響もあり、より避けられる
✕ 大多数で待ち構える ・・・密になり来場者が近寄り難い雰囲気
必要な対策:キャッチがなくとも興味を持ってもらえる会場設計
キャッチの呼び込みに頼るのではなく、「3段階の工夫」で来場者を引き付ける
■音で「アテンション」をとる
- 音声付き動画を流す
飛沫が飛ぶことがなく、堂々と聞こえやすい音量が出せる- ミニセミナーを実施
無理に声かけをせずとも、セミナーの発表で興味を持ってもらえる■視線で「アテンション」をとる
- 服装は目立つように、わかりやすい自社のオリジナルパーカーを使用
- ブース看板に興味を持ってもらえる設計を
■動きで「アテンション」をとる
- モニター内で「ツールの操作動画」を流し、動きを見せることで興味を持ってもらう
④事前視察で感じたコロナ禍の展示会の特徴:コロナ対策編
状況:フェイスシールドの着用やアルコールの設置など、コロナ対策を行う企業も
- コロナ禍での展示会にあたり、様々なコロナ対策をしているブースが見られた
《各コロナ対策への印象》
✕ 何もしない ・・・大半の企業は、マスク着用以外の対策はなし
✕ 「PCR検査済みです」の表示 ・・・やややりすぎの印象
✕ フェイスシールド ・・・何社が見たが、逆に不安感を感じる
✕ オンラインで商談セミナー ・・・来場者は直接話したくて来ているので、ニーズ違い
必要な対策:いたずらに不安感を与えないよう、適切な対策を心がける
- アルコールをブース内の複数箇所に常設
- 商談席に「透明のアクリル板」を置く
- 商談席は都度、アルコールで拭ける状態に
→そもそも展示会の来場者は直接話したくて会場に来ているので、過剰な対応を取る必要はない。やりすぎると不安感を与えてしまうので、企業として適切な範囲で対策を実施。
以上4つのポイントの視察を終え、今まで以上にアウトバウンドではなく、インバウンド。来場者の興味を引いて「自らブースに立ち寄ってもらえる施策」が必要なことを実感しました。
コロナ禍の展示会で実際に取り組んだこと(2022年4月)
視察内容を踏まえ、ferret Oneでは2022年の展示会出展で、下記の取り組みを実施しました。
①ブース導線の工夫で、来場者に自ら興味を持ってもらう
コロナにより、来場者が本当に必要なブース以外には近づかないとの予想から、自ら足を運んでもらうために設計したブースイメージがこちらです。
まず、最も人通りの多いメイン通路前の立て看板には、「1,000社導入」の旨と「導入企業様のロゴ」を掲載し、ブース自体に目を向けてもらえるようにしました。
さらに、視界に入りやすい上部のメイン看板には、タグラインとサービスロゴである「BtoBマーケするなら ferret One(フェレットワン)」を。補足として、サービスの強みである「簡単ツールと成功ノウハウで、誰でも成果が出せる」の文言を添えました。
また、ブース全体を通して、ferret OneのCM動画に出演いただいている小沢真珠さんを押し出すことで、来場者の目に留まるデザインにしています。
加えて、メイン通り沿いの看板で興味を持ってくださった方には、ブースに足を運んでもらうために、「BtoBサイトを作って、売り上げを増やす」「サクサク運用で、Web集客が伸びる」というメリットを縦看板で訴求。
実際に足を運んでくださった方に対しては、導入企業様がどんなWebサイトを制作したのかを、ポイントとともにイメージ画像で紹介しています。コロナ禍でパンフレットを手に取るのを控える人が増加すると予想し「ブース自体をパンフレット」の代替品として使用することをデザインのコンセプトとしました。
さらに、ここまで興味を持ってくださった方への導線が途切れないよう、ブース看板で紹介した導入企業様の事例を、業種別にチラシにして設置しました。
こちらは実際のferret Oneのブースの写真です。
来場者自らが、自社に近い業種の事例を探し、手に取れる設計になっています。チラシを手に取ってくださった方には、キャッチ部隊がお声かけする流れです。
②ノベルティは用意せず、透明の袋にパンフレットのみを入れて勝負
2年前の展示会では、オリジナルのキャンディを作成して興味を持ってもらう戦略をとっていました。
しかし今回はコロナの影響もあり、お菓子や小物などのノベルティを積極的に受け取る来場者は少ないと予想。また、必要な情報だと思ってもらえれば、グッズがなくても資料を受け取ってもらえると考え、ノベルティは用意しないことにしました。
資料を持ち運ぶための「手提げ袋」は引き続き有効と考え、ferret Oneでは、「透明の手提げ袋」に「パンフレット」を入れて配布しました。
手提げ袋内のパンフレットには、ブースと連動性を高めるため、看板と同一のタグラインやキャッチコピーを掲載。前面には小沢真珠さんの写真も掲載しています。
③キャッチの力に頼らず、音・視点・動きでアテンションをとる
コロナの影響でキャッチがしづらいと考え、各所にキャッチがなくても興味を引く仕掛けを作りました。
まずは、「音」でアテンションをとるため、小沢真珠さんに出演いただいたCM動画を大型モニターで再生しました。
これにより、声を発することなく、音声で興味を引くことができます。
さらに、同じく音による施策として、5分間の短いセミナーを行いました。過度なキャッチでの声かけは来場者から好まれませんが、有益なセミナー実施は、音声を出しつつ興味のある方に足を運んでもらうことができます。
セミナー内でも、ブースとの連動性が高まるよう、小沢真珠さんの写真とともに、看板に掲載した事例企業様の紹介を行いました。
また、「視線」でアテンションをとるために、ブース全体に小沢真珠さんの写真を掲載。その上で、出展メンバーはお揃いの青いオリジナルパーカーを着用し、小沢真珠さんの写真とサービスのメリットを訴求した「パネル」を手に持つこととしました。
最後に、「動き」でアテンションをとるために、商談ブースのモニターにおいて、商談以外のタイミングでは「ferret Oneの操作動画」を流すように各メンバーに依頼をしました。
④透明パネルと除菌アルコールで、適切なコロナ対策
他社のコロナ対策なども参考に、来場者に不安感を与えない範囲でコロナ対策を行いました。
具体的には、ブース内の複数箇所に除菌用のアルコールを設置。また、商談席の間に透明のアクリル板を置くことで、安心して話しやすい雰囲気を作りました。
さらに、商談席の除菌用アルコールの横にふきんを設置し、気になる時にサッと拭ける状態を作りました。
以上のような各種対策により、ferret Oneの2年ぶりの展示会出展は無事大成功を納めることができました。
コロナ禍での展示会は、来場者が自然と足を運びたくなる設計を
従来の展示会でも、多くの企業がブースに出展するため、「いかに自社に目を向けてもらうか」が大切でした。しかしコロナの影響により、無理な呼び込みやノベルティの効果が薄れたことで、より「興味を持ってもらうための仕掛け作り」が重要になったと感じます。
また今回、事前の視察時には「新型コロナウイルス感染症まん延防止等重点措置」が出されていましたが、出展時には解除されていたこともあり、来場者の人数や動きが予想と違う部分も多々ありました。そのため、当日は状況に合わせ、人員配置やオペレーションを変更しました。
ferret Oneでは、これまで何度も展示会に出展していますが、実は、事前に想定していた通りに当日の運営ができたことは、一度もありません(笑)。コロナの前後にかかわらず、展示会はその日になってみないと動きが読めない部分も多いものです。
事前の準備を最大限行なうことは大前提ですが、当日になって焦らないために、行動パターンを複数想定しておくことも重要です。その上で、イベント当日の状況に合わせて、臨機応変に対応することが展示会成功の鍵だと考えています。
最後にあらためてお伝えしたいことは、展示会での「目標達成」と「コロナ対策」。バランスが難しいこの2つを常に意識してください。目先の達成を優先するあまり、コロナ対策が疎かになってはいけません。
コロナ禍での出展で悩まれている企業様、参加に不安を覚えておられる来場者様。本記事がみなさんのお悩み解決のヒントとなれば幸いです。
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