【担当者解説】オウンドメディアのコンバージョン率改善方法を共有します


BtoBマーケティングにおいては、お問い合わせや資料のダウンロードがコンバージョンポイントになることが多くあります。

BtoCの場合は、店舗に行き、商品に直接触れて購入の判断ができますが、BtoBの場合、サービス購入前に商品を手に取って体験することができません。その変わりにBtoBでは、企業や人が発信する「コンテンツ」がサービスの疑似体験の役割を果たします。コンテンツに価値を感じると、その企業が提供しているサービスにも価値や信頼を感じてもらえるようになるのです。

コンテンツを通してコンバージョンを獲得するためには、そのコンテンツがユーザーに寄り添っていなければなりません。思うようにコンバージョンを獲得できていない場合、どのようなポイントを見直せばよいのでしょうか。

今回は、ferret Oneの担当者に、オウンドメディアのコンバージョン率改善方法についてインタビューを行いました。弊社の事例を交えながら解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

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解説をするのはこの人!

梨木 南人
株式会社ベーシック マーケティング部 マーケティンググループ リーダー

BtoBマーケティングツール『ferret One』において、新規リードの獲得からリードナーチャリングまでを担当。メールマーケティングや事例記事の制作、ホワイトペーパー作成などを行う。

目次[非表示]

  1. 1.オウンドメディアでコンバージョンが獲得できない原因3つ
  2. 2.コンバージョン率改善に向けてのチェックポイント
  3. 3.オウンドメディア改善までのプロセス
  4. 4.オウンドメディアのCTAとコンバージョンポイントの設定方法
  5. 5.まとめ:オウンドメディアのコンバージョン率改善のポイント


オウンドメディアでコンバージョンが獲得できない原因3つ

——オウンドメディアでのコンバージョン獲得がうまくいかない場合、何が原因になっているケースが多いのでしょうか?

原因は、大きく3つに集約されます。まず1つ目は、記事の時点でお客様の満足度を得られていないということですね。読者の「よいものを得られたな」という実感が重要です。満足感がないと、その後わざわざ自分の名前やアドレスを差し出してまで追加の情報を得る価値があるのかどうか、疑問に思われてしまうからです。

——SEOを狙った記事でしっかり読者の信頼を得られないと、リード獲得にはつながらないということですね。

2つ目にチェックすべきなのは、適切なCTAを設置できていないということです。よいコンテンツを持っているのに、その内容に対応するCTAが設置できていない場合が考えられます。

——具体的にはどのような状況でしょうか。

たとえば、弊社の運営するメディアOne Tipに「導入事例の書き方とは?」という記事がありますが、もしここに「ferret Oneのサービス紹介資料」のCTAが設置されていたら、どう思うでしょうか? もとからサービスに興味のある人はクリックするかもしれませんが、それはごく少数。その裏で、記事を読んでいる途中で興味のないものをプッシュされるというマイナスの感情が積み重なってしまいます。この場合は「導入事例作成ガイド」などのCTAが適切でしょう。

One Tip 「導入事例の書き方とは?」記事内のCTA


——なるほど。記事のテーマに沿ったCTAのチョイスが大切なんですね。

サービスに興味のある人に対しては、記事を読み進める場所にサービス紹介資料のCTAを設置しておくとよいでしょう。弊社の場合、ferret Oneのサービスサイトのドメイン配下にOne Tipがあるので、グロナビやフッターからサービス紹介資料にアクセスできるようになっています。

ferret Oneのグロナビに設置している、サービス紹介資料のCTA

※グロナビ:Webサイトの全てのページに表示されるメニュー
※フッター:Webページの本コンテンツより下にある領域


——3つ目の原因はなんでしょうか。

3つ目は、記事の上位互換となるオファーがないことです。「記事とCTAのテーマが同じであればよい」とは限りません。CTAを見て記事と内容が変わらないと思われれば興味を持たれないので、記事と関連性を持たせたうえで、少しテーマをずらす・または発展させることが重要になります。例えば、One Tipには「カスタマージャーニーマップの作り方とは?」の記事があり、すでに記事内で作り方の手順が説明されています。

カスタマージャーニーマップの作り方とは?」一部抜粋 


ここに、ほぼ同じ情報が書かれている「カスタマージャーニー作成ガイド」のホワイトペーパーを載せても、プラスαで読んでみたいという期待感を高めにくくなります。

——たしかに、もう記事で読んでしまってますからね。

はい。そこで弊社では、カスタマージャーニーの作成プロセスのひとつである「ペルソナ設定ガイド」や、より深く知るための「カスタマージャーニー事例集」を設置しています。

カスタマージャーニーマップの作り方とは?」記事内に設置したCTA 


少しずらす、もしくはもう一歩踏み込む。記事でも学びはあるけれど、そこだけでは得られないプラスの情報を提供することが重要となります。


コンバージョン率改善に向けてのチェックポイント

——コンバージョン率を改善したい場合、どのようなチェックが必要でしょうか。

チェックすべきポイントは、オウンドメディアのフェーズによって変わると思います。オウンドメディアを立ち上げたばかりでまだ流入の少ない初期段階と、ある程度記事数が蓄積されていて流入の増えてきた成熟期に分けて説明しましょう。

——では、まず初期段階はどうすればよいでしょうか。

流入のない初期段階では、過去のデータ分析ができません。よって、まずはコンバージョンにつながりやすい記事を書けているかどうかチェックする必要があります。

——コンバージョンにつながりやすい記事というのは、どうやって判断するのでしょうか。

「お客様の持つ課題」に対した記事を書けているかどうかを見ましょう。自社のサービスやオウンドメディアのお客様になり得る方がどんなことで困り、どういうワードで検索するか突き詰めていくことが重要です。コンバージョンを増やしたい場合は、「検索ボリューム」を気にするのは「お客様の持つ課題」を意識した後ですね。

——実際にOne Tipでも「お客様の持つ課題」を意識した記事が成果をあげているんですか。

例えばOne Tipでは「BtoBメルマガ担当者に聞く!おすすめ配信コンテンツ6選」という記事があります。メルマガの書き方がわからないという課題を持つ人が「メルマガ コンテンツ」で検索したときのことを考えてつくったものです。この記事には「成約に結びつけるためのメールマーケティングの基礎」というホワイトペーパーを設置していますが、順調にコンバージョンも生まれています。

BtoBメルマガ担当者に聞く!おすすめ配信コンテンツ6選」記事内に設置したCTA 


また、PVが少ないうちに時間をかけてホワイトペーパーを作ってしまうと、そこまでたどり着く人がいないのでもったいないです。まずは流入を増やし、目安で言うと1記事で約300PVを超えるようになったら、コンテンツを設置するとよいでしょう。

——それでは、ある程度記事数が蓄積されて流入が増えてきてからは、どのようにするとよいでしょうか。

まずは、運営しているオウンドメディアのなかで、PVの多い記事をリストアップしてください。順位が上がり、PVが急増した記事がないかチェックすることも重要です。チェックすべき記事の確認ができたら適したCTAが設置されているかどうか」や、「記事を見た人の期待を超えられるコンテンツが準備できているかどうか」を改めて見直しましょう。それがなければ、新しいコンテンツや導線を設置します。


オウンドメディア改善までのプロセス

——オウンドメディアを改善するには、どのような段階を踏んでいけばいいのでしょうか。

まずは現状を知るために、PVの多い記事をリストアップしましょう。そこから、オウンドメディアの全体の状況を把握してください。次に、現在発生しているコンバージョンの経路を知りましょう。コンバージョンの多い記事はどれなのか、データを可視化するといいですね。弊社ではスプレッドシートを使用し、コンバージョンがよく取れている記事と、PVが多い記事を管理しています。

One Tipのデータをまとめたスプレッドシート(一部抜粋)


スプレッドシートは、月に1件コンバージョンするかしないかの記事まで全て見ていても効率が悪くなってしまうので、上位記事から絞って見ていますね。

——そのデータから、次のアクションを考えていくんですね。

はい。どの記事でコンバージョン獲得を狙っていくか見極めていきます。「PVが多いのに、うまくコンバージョンにつなげられていない記事」や「PVは少ないけれど、コンバージョンへの転換率が高い記事」に注目します。

——改善できそうな記事ということですね。

そうですね。それと同時に、コンバージョン率の高い記事の傾向をつかんでみてください。コンバージョン率の高い記事が分かっても、なぜ高いのかわからないと再現性が生まれないので、その共通項を見つけ出すアプローチが必要です。

——その後は「改善できそうな記事」を実際に改善することになりますよね。

そうです。One Tipでは過去に色々とCTAの形やキャッチコピーといった見せ方を調節したことがありますが、結果的にそれほど数字は変わりませんでした。私の力不足でもあると思いますが、見せ方以上に大切なのは、ユーザーの関心と、それに応えるコンテンツがあるか、なんです。

──なるほど。どうすれば、ユーザーの関心に応えるコンテンツがあるかどうか、判断できるのでしょうか。

ベタではありますが、Googleサーチコンソールなど、流入キーワードを調べられるツールを使い、どんな課題を持った人がその記事に来ているのか調査します。そのデータを見た上で、記事の構成を見返します。流入キーワードから分かったユーザーの期待に対して、記事がどういう流れで応えているかを確認しましょう。そこから、さらに興味関心を高める斜め上のホワイトペーパーはどういうものがよいのかを、線で考えてください。適切なホワイトペーパーがなければ、新しく作るというのも一手です。

——検索ユーザーが満足するコンテンツを提供できているかどうか、検索キーワードから辿って、見直していくわけですね。

はい。その上で、最後にどのような訴求でCTAを置くか考えましょう。キーワード調査をもとに、記事を訪問した人の課題や背景を考えてアプローチしていきます。時期や市場、お客さまを取り巻く環境に合わせていくのが重要です。


オウンドメディアのCTAとコンバージョンポイントの設定方法

——コンバージョンを促すためのCTAは、どのように設置すればよいのでしょうか?

One Tipで多いケースで言うと、記事の「冒頭」と「最後」の2箇所に設置しています。最初から興味があって知りたい人に対しては、早いうちに転換を促します。最後の部分は一通り見切った人なので、より上の期待を提供する訴求になります。

One Tip CTA設置例(記事冒頭と最後に設置)


——なるほど。場所によって、訴求が異なるわけですね。

テキストだけでなく、ポップアップやバナーも一手です。ただし、顧客体験の妨げにもなるので、使用する場合は出し方に気を付けましょう。

——具体的にはどのように気をつけるとよいでしょうか。

ポップアップを一度消したら出て来ないように設定するなど、ネガティブ要素は減らす対策が必要です。ポジティブな対策としては、記事に合わせてしっかりパーソナライズ化しましょう。よいものを出せば、お客様にとっても有益になります。実際One Tipでも、記事ごとのカスタマイズはかなり効果が出ています。

One Tip 記事バナー例


——コンバージョンポイントの設定自体を間違えている場合もありますか?

あると思います。ブログ記事内で、サービス紹介資料やお問い合わせを促してしまうのが多いケースです。的外れな内容の過剰なリンク出しや、スペースを圧迫するほどバナーを貼りつけるのもやめましょう。数字を追うあまりやってしまいがちですが、注意したいところです。弊社でもよほど顕在層向けの記事でない限り、記事の末尾はホワイトペーパーを先に置いて、その下にサービス紹介資料を持ってきています。

記事末尾での、ホワイトペーパー(上)とサービス紹介資料(下)のCTA設置例

——One Tipの場合、コンバージョンポイントには何を設定していることが多いのでしょうか。

コンテンツの内容で言えば、9割以上、ホワイトペーパーを設置しています。あとは、ツール紹介の記事にサービス紹介資料などを設置するケースですかね。セミナーへの誘導は少ないです。

——ちなみに「コンバージョン率」って、何%あればいいんでしょうか。

One Tipの場合、記事によって0.1%〜3.5%などまでさまざまです。そのため、記事ごとに見た方がよいでしょう。目安として、初期設定では0.5%を超えることを目指します

——コンバージョンポイントの内容を見直す際には、どのような工程が必要になりますか。

ユーザーの興味関心の方向が狙ったものと違うようなら、他のキーワードを狙った記事を追加します。ユーザーの興味関心・期待に応えるホワイトペーパーがない場合、一定の流入が生まれているなら、新たなホワイトペーパーを作成するのも有効です。

——実際にOne Tipでは、どのような改善を行っていますか。

例えば、SWOT分析に関する記事が伸びてきた時には、コンバージョンを促すために「マーケティングフレームワークのテンプレート集」を作成しました。導入事例の記事が伸びてきたら、「導入事例作成ガイド」を作成しました。特に実践に活かせるフレームワーク集は大きな成果が出ています。

弊社では、オウンドメディアの制作に自社ツールの「ferret One」を使っています。思い立ったときすぐにホワイトペーパーをアップロードしたり、CTAを追加・変更したりできるので、高頻度かつ高スピードで改善している点もポイントですね。

ferret OneでSWOT分析の記事にCTAを設置する様子

——なるほど、読者のニーズに合わせて細かい調整を繰り返すことが、オウンドメディアの改善につながっているんですね。ありがとうございました!


まとめ:オウンドメディアのコンバージョン率改善のポイント

《コンバージョン率改善に向けてのチェックポイント》

  • 流入の少ない初期段階では・・・
    コンバージョンにつながりやすい記事を書けているかどうかチェック!
    →まずは「お客様の持つ課題」に対応した記事を増やしましょう。

  • 流入が増えてきたら・・・
    適したCTAが設置されているかどうか、記事を見た人の期待を超えられるコンテンツが準備できているかどうかチェック!
    →コンバージョンの経路を知り、流入したユーザーの関心に記事がどう応えているのかを確認。それに対して、興味関心を高める斜め上のコンテンツを設置できているかを、記事ごとに見直しましょう。

オウンドメディアのコンバージョン率を改善するには、ユーザーの関心に応えるコンテンツの作成・設置が必要です。改善施策を検討している方は、ぜひ今回の記事を参考に、自社のメディアをチェックしてみてください!

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弊社では、リード獲得、サイト制作(CMS)、問い合わせ管理、LP作成、キャンペーン管理など、BtoBマーケティングに必要な機能を一通り揃えたオールインワンマーケティングツール「ferret One」をご提供しています。

ferret Oneについては、ぜひ無料の資料をご覧くださいませ。
>ferret Oneサービス紹介資料のダウンロード【無料】はこちら

One Tip編集部
One Tip編集部
One Tipは、Webマーケティングツール「ferret One」から生まれた、「リード獲得の打ち手が見つかるメディア」です。 BtoBマーケティングにかかわる人にとって、価値あるコンテンツをお届けしていきます。 Twitter:@ferret_One_

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